こんにちは、太眉です。
今日はね、無限軌道についてずっと話します。
無限軌道っていうのは、キャタピラーのことです。戦車とかショベルカーとか、不整地で作業する車についているあれです。
なぜ、道路を走っているような車のタイヤじゃいけないのでしょうか。
結論だけ言えば、タイヤで不整地を押したんじゃ、不整地が押し返してくれないからです。
解説します。
車は道路を走るとき、エンジンで作った駆動力をタイヤを通して地面に伝えます。でも、その地面が豆腐だったら、タイヤが豆腐を後ろにはね上げてるだけで、前に進めません。
作用反作用の法則というのがあります。キャスター付きの椅子に座って、壁を押すと押したはずの自分が後ろにシューっと下がっていきますよね。押した方も押されているというやつです。もし、押すのが壁じゃなくて、暖簾だったら? 正に暖簾に腕押し、押した人は後ろに下がりません。なぜか。暖簾が押し返してくれないからです。
豆腐をはね上げる車は、暖簾に腕押しを同じことやっています。タイヤが地面を押しているのに、豆腐が押し返してくれないから、前に進めないのです。
押し返してくれないのは、なにも豆腐だけではありません。泥や雪など不整地も押し返してくれません。
じゃあ、どうすれば車は不整地を走ることができるのでしょうか。つまり、不整地でも十分な反力を得るにはどうしたら良いのでしょうか。
押し返す力は、反力と言います。反力は、次の公式で算出できます。
接地面積×接地圧×摩擦係数
接地面積はタイヤと地面が接している面積の広さです。接地圧は重さです。
摩擦係数は滑りにくさです。ツルツルの氷の上=摩擦係数が低い。道路にある赤いザラザラの上=摩擦係数が高い
赤いザラザラはこれです。(https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jimusho/nishiken/Okutama-Hp/Okutama-Hp-koutuanzen-top.html)
この3つの項から成る式の答えが、不整地走行性の高さになります。
キャタピラーは、この反力を算出するための3つの要素のうち、接地面積の項にアプローチしています。
キャタピラーは、駆動輪、転輪、遊動輪の3種類の金属の円盤を、履帯という鉄の帯でまとめています。1番前方にあるのが遊動輪、1番後方にあるのが駆動輪、それ以外が転輪です。
(https://www.amazon.co.jp/HJ%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-No3-1-35%E9%99%B8%E4%B8%8A%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A74%E5%BC%8F%E6%88%A6%E8%BB%8A-%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB/dp/B0BKRNCKG2)
エンジンで作られた駆動力が車体後方の駆動輪にのみ伝えられます。駆動輪は履帯を動かし、履帯が地面を後ろに押すことで、車は前に進むのです。つまり、キャタピラーは、下面にある履帯全面が地面に当たっているので、設置面積をバク稼ぎしていることになります。
ではプリウスと74式戦車で、両者が走行したときの地面に期待できる反力を求めて、比較してみましょう。楽しくなってきましたね! 摩擦係数は1とします。
まず、プリウス。一般的なタイヤの設置面積は約ハガキ1枚分です。それが4つなので、縦15㎝×横10㎝×枚数4=600㎠=6㎡
重さは、1350㎏(wiki)
6㎡×1350㎏×1=8100
次に74式戦車。履帯の幅は公式情報がありましたが、長さはわからなかったので、74式戦車の車長×2と仮定します。すると、履帯の設置面積は、55㎝(履帯幅)×941㎝(履帯長さ)×2=103510㎠=1035.1㎡
重さは、38トン=38000㎏
1035.1㎡×38000×1=39333800
計算結果によれば、74式戦車はプリウスの約486倍、不整地走行性能が高いということです!!
74式戦車は、ソ連からの侵攻に備えて北海道に多く配備されていました。プリウスの486倍の不整地走行性があれば、雪道だろうが、雪解け水でグズグズになった泥道だろうが、難なく走破してくれるでしょう!
小話として、1点付け加えます。
第二次大戦を扱った映画や湾岸戦争のニュース映像に出てくる戦車は、よく丸太を背面に結び付けています。画像が見たい方は、2022.5.15日の乗り物ニュースを見てみて下さい。太眉は、「あーはいはい。戦車は背面の装甲が薄いから、丸太で防御力を補っているのね。わかるわかる」と考えていました。
違いました!
丸太の狙いは、地面の摩擦係数を上げることで、地面の反力をアップさせることでした。
戦車は1両で行動しません。何両かまとまって行動します。そうすると、その部隊は数本の丸太を持っていることになります。戦車でも走行が難しい不整地に出会ったときに、この丸太を道路に敷いてある赤いザラザラよろしく、間隔をあけて地面に敷きます。こうすることで、地面の摩擦係数が上がり、期待できる反力が上がり、その地点を通過できるわけです。
ドローン、サイバー攻撃が取り沙汰されるなか、丸太が有効に働く場面もあるんです。
興味深いです。
今日はこのへんで!太眉日記書くのに2時間使ちゃった。マジで簿記2級やばい…
おやすみ!